岩佐又兵衛展@千葉市美術館

なんでこんな遠いとこでやってるのかというと
こちらは小林忠御大のお膝元だから。
何気に又兵衛のパトロンだった福井県以外で
又兵衛オンリーの展覧会やるのは三十年くらいぶりで
今後も十年二十年はできないとのこと。
こんなにいっぱい見ることってないよ。
初期は特に俗っぽい顔貌なのが晩年は少し品良くなってく。
堀江物語絵巻と浄瑠璃物語絵巻には残虐さとエロスが。
基本的に彼の描く顔立ちがとてもなまめかしいんだけど。
堀江は悪者を若君(前髪のあるとても色っぽい)が成敗するシーン
は肉斬りで有名で
体がばっさりまっぷたつで肉が見えてて血がドッパー。
浄瑠璃は牛若が姫に言い寄るシーンなんか湿気感じるもんね。
どっちもクライマックスのシーンが展示されてなかったけど。
先生が言うには、遺品が見つかってないけど
又兵衛の工房がおそらく春画を制作していたのは間違いなくて
そこから浮世絵に発展してったのではないかという事。
そして又兵衛がプレ又兵衛の集団の中から誕生した天才で
突然あらわれたようなタイプの天才じゃないってことだろうということ。
土佐派の面貌とくラベルと明らかに俗っぽいんだけど
その中でも貴賎を自在にかき分ける技量はやはり巧い。
しかし、故事の知識や、端々に北宋末期みたいな筆法とか
大和絵的線や掘り塗りなど確かなバックボーンを感じさせる。
何気にお坊ちゃまですから。